
保戸野窯 平野庫太郎 作
作家紹介
平野庫太郎(ひらの くたろう)は秋田市・保戸野に窯を構えた陶芸家。
秋田県立美術館館長や大学教員を務めながら作陶を続け、「納得のいく作品しか作らない」寡作の美学を貫きました。
辰砂(しんしゃ)、油滴天目、鈞窯、釉裏紅など多彩な釉薬表現を探究し、日常の器にも高い芸術性を込めた作品を残しました。
作品について
この硯は、淡い青磁のような釉薬が施され、静かな気品を漂わせています。中央の墨をためる部分と周囲の水を張る部分が明確に分かれ、実用性に優れながらも、器としての美しさを兼ね備えています。柔らかな色調と端正な輪郭は、書に向かう心を落ち着かせ、精神を整える効果をもたらします。硯としての機能を超え、工芸作品としても鑑賞に耐える上質な逸品です。光の加減で表情を変える柔らかな発色が魅力で、宋代中国の青磁を思わせる上品さを備えています。
縁にわずかな曲線が施され、静かな中にも動きを感じさせる造形となっています。
