

杉浦康益略歴
杉浦康益は1949年、東京都生まれ。1975年に東京藝術大学大学院 美術研究科 陶芸専攻を修了し、その後、無所属で制作を続けてきた作家です。1984年には神奈川県真鶴町へ移り、築窯しています。
代表的な仕事としては、初期の 「陶による石の群」、その後の 「陶の岩」、「陶の木立」、そして植物の構造を細かく観察して陶で表現する 「陶の博物誌」 シリーズがあります。西宮市大谷記念美術館の解説では、河原の石を型取りした作品で注目され、その後、自然や植物をテーマに陶芸の可能性を追求してきた作家として紹介されています。
受賞歴もあり、第14回日本現代芸術振興賞、2012年度 日本陶磁協会賞などを受賞しています。
今回の茶碗については、写真を見る限り、杉浦康益の中でも大きなインスタレーション作品というより、彩文器・茶碗系の小品に近い印象です。柔らかい色彩、抽象的な文様、ところどころに入る金色の線が特徴的で、自然物・地層・植物・石の断面のような雰囲気があります。
茶碗
本作は、淡い赤、青、緑、黄の色彩が重なり合う茶碗です。器面には、地層や岩肌、植物のかたちを思わせる抽象的な文様が広がり、金色の線がひびや稜線のように走っています。穏やかな色調の中に、自然が長い時間をかけて生み出すかたちや、土そのものの力強さが感じられます。
杉浦康益の作品は、実用の器でありながら、自然を観察し、陶によって再構成する造形作品としての魅力も備えています